インバウンド対策での免税制度の活用とその重要性

2019.07.08

訪日外国人の商品購入の候補となる免税店

現在日本では訪日外国人客が増加の一途をたどっており、多くの企業や団体がインバウンド対策を進めています。またインバウンド対策の中でも重要な課題のひとつは訪日外国人の消費をどのようにして促すかということです。そこで、訪日外国人の消費の構成比をみてみると、宿泊料金や飲食代を大きく上回り、買物における商品の購入代金が全体の約4割を占めています。

このことからもわかるように、インバウンド対策において訪日外国人の消費を促すポイントは、いかにして訪日外国人客に商品を購入してもらうかといっていいでしょう。

一方で、訪日外国人客も事前のリサーチを行っていて、よりリーズナブルに商品を購入しようとしています。そこで彼らが候補のひとつに挙げるのが商品購入にかかる一定の税金が免除される「免税店」です。

このため、こうした訪日外国人の動向に対し、政府も免税制度に関する税制改正などに積極的で、免税について正しく理解を深めておくことは、インバウンド対策としても重要といえるでしょう。

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「タックスフリー」と「デューティーフリー」の違い

ところで、免税店には消費税のみが免税となる「TAX FREE(タックスフリー)」と消費税だけでなく関税、酒税、たばこ税も免税対象となる「DUTY FREE(デューティーフリー)」の2種類が存在します。

このうち、デューティーフリーは「空港型免税店」とも呼ばれ、かつては制度上日本国外とみなされる空港内出国エリアのみに出店されていました。最近では「空港型市中免税店」と呼ばれる市街地のデューティーフリーも存在しますが、いずれにしても商品購入にはパスポートのほか航空券の提示も必要となります。

このため、一般の小売店が免税店を目指す場合、通常は「市中免税店」あるいは「消費税免税店」と呼ばれるタックスフリーとなります。

 

インバウンド対策としての免税販売の概要

そもそも訪日外国人客が日本国内で購入した商品が免税されるのは、その品をお土産として自国に持ち帰る行為が貿易において免税対象となる輸出取引と同様とみなされるからです。このため本来日本国内であれば課せられる間接税のひとつである消費税が免除されます。日本だけではなく海外でも同様の免税制度はありますが、多くの国では出国してから税金分が還付される「還付方式」を採用しているため、出国時に税関で確認が必要です。

一方で日本の免税制度は商品を購入した時点で免税手続きが可能なことから空港で還付受付の必要がないため、訪日外国人はもちろん、販売者側もインバウンド対策として利用しやすい制度といえます。

では、実際にはどのようにして訪日外国人に対して免税販売を行えばよいのでしょうか。

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免税販売の許可申請の方法

すでに何らかの店舗を運営していてインバウンド対策として免税販売を希望する場合、所轄の税務署に「輸出物品販売場許可申請書」を提出して申請し、「輸出物品販売場」の許可を得なければなりません。その際には、売場の見取図、免税の販売マニュアル、事業内容がわかるもの(会社のホームページや、会社案内など)、取り扱い商品のリストが必要となります。

また、申請の際には訪日外国人が利用している、あるいは利用が見込まれる場所かどうか、そのうえで販売に必要な物的施設があり、スタッフが揃っているか、さらに申請者が消費税の課税事業者で、国税を滞納していないかなどがチェックされます。

 

訪日外国人以外も免税の対象者となる

免税制度は、インバウンド対策として訪日外国人をターゲットに利用できますが、対象者は外国人にとどまりません。日本人でも海外で勤務されている場合や、2年以上日本国外に住んでいる場合は、「非居住者」とみなされ免税の対象となります。

一方で外国人であっても国内に居住していたり、滞在歴が6か月以上の場合は「居住者」となり免税の対象外です。

 

免税の対象となるのはすべての物品

免税の対象となる物品は、電化製品や宝飾品、衣類、民芸品といった一般物品に限られていましたが、インバウンド対策の一環として、2014年10月より食品や化粧品などの消耗品も対象となり、現在では原則すべての物品が免税対象です。ただし、日本国内で消費されるものや、サービス料、修理代といった無形のものは免税の対象外となります。

 

インバウンド対策としての免税手続きの流れ

免税店の許可申請を行い、免税販売が可能になると、実際の免税手続は次のような手順で行います。

 

パスポートの提示を受ける

まずは訪日外国人客にパスポートを提示してもらい、氏名・国籍・生年月日・在留資格・入境年月日・パスポート番号(旅券番号)などの確認を行います。

 

購入記録票を作成する

次に商品情報を記載した、「輸出免税物品購入記録票」を作成しパスポートの査証欄に貼付します。

 

購入者誓約書へ署名してもらう

一般物品であれば日本国外に持ち出すこと、消耗品も日本国内では使用しないで30日以内に持ち出すほか、出国時に携帯していない場合には消費税の追徴を受ける旨が記載された「購入者誓約書」に購入者自身のサインをしてもらい手続きは完了です。

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インバウンド対策における免税販売の注意点

免税店として商品を販売する際、さまざまな注意点もあります。そこでこれらを事前にきちんと訪日外国人にアナウンスするのも、インバウンド対策のひとつです。

 

購入商品の取り扱い

免税販売では、購入された商品が消耗品の場合、開封していないことが確認できるシールで封印された消耗品専用袋で梱包する必要があります。そのうえで、消耗品専用袋は国外へ持ち出す前に開封するのは厳禁です。

 

免税の対象となる購入金額

免税販売の許可申請には2種類の方法があり、このうち「一般型輸出物品販売場」として申請を行った場合、免税の対象となるのは、その店舗での商品の購入金額が5,000円以上でなければなりません。

一方で、店舗がショッピングセンター内に出店しているなどして、「手続委託型輸出物品販売場」での申請であれば他店とも合算ができます。ただし、この方法では消費税を差し引いた金額で支払うのではなく、購入者が所定の免税手続一括カウンターで払い戻しを受けなければなりません。

また、これまで一般物品と消耗品の購入額は合算することはできませんでしたが、2018年7月より一般物品を特殊包装することによって可能となりました。

 

インバウンド対策として免税POSレジを導入する

ここまでのように、免税制度は訪日外国人と販売店舗双方にとってメリットがありますが、インバウンド対策として免税販売を行おうとすると、どうしても免税計算が複雑になったり、証明書類等の帳票出力が必要になるといった業務への負担が生じます。

そこで免税販売における業務の効率化を図るには免税POSレジの導入が有効です。

 

免税POSレジとは

POSレジとは顧客の金銭のやりとりや販売情報を管理する機能を搭載したレジのことをいいますが、インバウンド対策として導入される免税POSレジは、これに加え、免税手続きに必要なパスポートの情報を専用バーコードリーダーで読み取る機能や、免税手続きの書類を一括して作成し、自動出力することなどが可能です。こうしたレジを導入することにより、免税販売で必要な手続きの時間を短縮でき、証明書類などへの記入漏れなどのミスも防止できることから、業務の効率化も図れます。

 

実際に免税POSレジを導入するには

免税POSレジは本体だけでなく、パスポートリーダーやプリンターといった周辺端末と同時に運用する必要があります。このため、免税POSレジの導入の際にはこれらの端末を含めて予算を検討しなければなりません。

一方で、実際に導入する場合には、売上げの分析に活用できるよう、売上データや顧客情報を管理できる機種を選ぶ必要があります。そのうえで、英語をはじめ、中国語や韓国語といった多言語に対応していれば、外国語を使いこなせるスタッフを雇用するよりも安価な費用で一定のインバウンド対策も実現します。

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今後のインバウンド対策としての免税販売

2020年に東京オリンピック開催を控え、訪日外国人は今後も増加が続くものと予想されます。ただし、小売業界は競争が激しいため、免税販売の対応をし、インバウンド対策としてより多くの需要の取り込みを図ることも重要です。

また、同時に免税POSレジの導入などによって、少しでも業務の負担を軽減し、より効率的に売上げの拡大を模索する必要もあるといえるでしょう。