世界の越境ECの動向とAmazonの活用

2019.02.25

越境ECの手段としてAmazonを活用する

近年、越境ECの市場規模は年々拡大していることから、ECサイトを運営し、越境ECへの取り組みを検討するということも一般に認知されるようになってきました。しかしながら、中小企業や個人の場合、実際に参入するにはまだまだそのハードルは高いといわざるをえません。

 

そこで、比較的容易に越境ECに参入するには、世界最大のECモールであるAmazonを活用するのもひとつの方法です。これにより、Amazonならではの集客力を活用しながら、越境ECを展開することができます。

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世界のECの市場動向について

Amazonにおける越境ECに触れる前に、まずはECに関する市場動向についてみておきましょう。

ECの市場は世界各国で拡大傾向が続いており、経済産業省の「通商白書2018」によれば、今後、2026年には約9.7兆ドルに拡大すると推計され、これは、2016年の世界におけるBtoCのEC市場規模が約2.4兆ドルだったのと比較すると、実に年平均14.9%の成長率となります。

 

地域別にみてみると、中国が世界全体の4割を占める世界最大のEC市場国で、中国に次ぐアメリカと比較しても高い割合です。

また、今後も中国は世界のEC市場を牽引するとみられています。さらに、成長が著しいインドでもECの市場は急速に拡大するとされ、将来的に世界4位に躍り出る見込みです。

 

 

今後も成長が見込まれるEC市場

一方、世界市場におけるEC化率は、こちらもやはり中国がリードしており、これに次ぐのはイギリスや韓国となっていて、今後も10%前後の安定した成長が見込まれています。

また、アメリカやドイツ、日本といった他の先進国も、もともと市場規模が大きいため、EC化率は平均して5%~10%程度の成長が見込まれる状況です。

 

そして、さらに注目すべきなのは新興国で、現在の市場規模はまだまだ小さいものの、物流や通信をはじめとした社会インフラの整備が急速に進みつつあり、今後、高い成長が期待されています。

 

 

EC市場の拡大に比例する越境EC

各国のEC市場の拡大に比例する形で、現在越境ECについても市場の拡大が続いています。

同じく経済産業省の「通商白書2018」によると、2014年には2,360億ドルだった越境EC市場は、2020年には9,940億ドルとなる見込みです。

また越境ECの利用者数についても、2014年時点で約3億人程度だったのに対し、2020年には9億人と、約3倍になる見通しとなっています。

 

このうち、特に西欧諸国では海外のECサイトからの商品購入割合が50%ほどとなっていて、イギリスやドイツといったEU域内だけでなく中国やアメリカのECサイトの利用も盛んです。

 

 

EC市場拡大の背景

このような越境ECを含めたEC市場の拡大の背景には、これまでのパソコンによる取引のほかにも、スマートフォンや携帯電話といった携帯端末が普及したことが大きな要因として挙げられます。

世界の携帯端末の保有台数はITU(International Telecommunication Union)の資料を元にすると、2000年には世界人口100人当たりに換算すると12台程度に過ぎなかったものが、2016年には人口とほぼ同数の携帯端末が保有するに至り、これによって世界的にみてもECの利用がごく身近なものとなりました。

 

さらに、EC市場拡大の大きな要因のひとつとして、オンライン決済における手段の多様化が挙げられます。

こちらは、決済サービスプロバイダの Worldpay Inc.によると、2015年時点で世界におけるオンライン決済の手段がクレジットカードやデビットカードといったカード決済が42%を占めていたのに対し、2020年には36%程度に縮小する一方、Eウォレットやその他の決済方法がより重要性を増すと推計しています。

 

特に、発展途上国においては、銀行の店舗網が充実していない地域も少なくない上に、クレジットカードの保有が困難な所得層が多いことから、銀行口座を介さない決算手段であるモバイルマネーの活用が拡大中です。

中でも国際連合貿易開発会議(UNCTAD)によれば、サハラ砂漠より南の地域である、サブサハラアフリカ地域では、携帯端末の普及とともにモバイルマネーが代表的な決算手段となりつつあり、モバイルマネーの口座保有率はクレジットカード保有率の実に4倍を超えています。

 

このほか、中国では銀行口座やクレジットカードと紐づけを行うことで携帯端末での決済が可能なアリペイ(支付宝)やWechat Pay(微信支付)といった電子決済手段も、EC市場の拡大を後押ししていると考えられます。

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Amazonにおける越境EC

上述の通り、世界的に見たEC市場は今後も拡大が予想されています。ここからは、実際にAmazonにおける越境ECについてみていきましょう。

 

現在、AmazonはアメリカのEC市場を牽引しており、2017年の売上高は1778億6600万ドル、純利益30億3300万ドルという圧倒的な市場規模と販売力を誇っています。

これは、人口減少などの要因で、国内消費の縮小が懸念されるなか、日本から越境ECを検討し、参入するには大変魅力的な数字といえるでしょう。このため、すでに日本でも多くの企業が越境ECにおいてAmazonを活用しています。

 

そこで、Amazonを利用した越境ECの方法みてみると次ようなものがあります。

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Amazon.co.jpのマーケットプレイスへ出店する

Amazon.co.jpのマーケットプレイスへ出店すると、海外ユーザーからも問い合わせのほか、商品を購入される場合があります。

つまり、Amazon.co.jpに商品を出品するだけであれば、出品者はほぼ労力を必要とせず、海外から注文を受けることが可能です。

 

ただし、Amazon.co.jpは、そもそもAmazon.comの日本法人である、アマゾンジャパン合同会社が運営する日本のECサイトで、Amazon.co.jpに掲載されている商品は現在日本以外の14か国のAmazonでは閲覧や販売することができません。

 

このため、Amazon.co.jpに出品する方法で、越境ECを行う場合、購入する消費者側のハードルが高くなります。これは、購入層は日本語サイトを理解できる一部のユーザーに限られるということであり、海外から広く需要のある、「Made in Japan」を求める消費者が購入することも難しくなるということです。

結果として越境ECに参入するのが前提であれば、あまり積極的な方法とはいえなくなってしまいます。

 

Amazonグローバルセリングに出品する

Amazonを活用して越境ECを行うには、Amazon.co.jpを利用するよりも、アメリカ向けのAmazon.comに出品するほうが越境ECにおいてはより積極的です。それには、Amazonグローバルセリングへの申し込みが必要となります。

Amazonグローバルセリングは、Amazon.co.jpの出品者を対象として、アメリカのAmazon.comが海外販売をサポートするプログラムです。

 

通常、Amazon.comをはじめとした海外サイトに商品を出品する場合には、サイトの翻訳が必要で、カスタマーサポートも外国語となります。

また、出品者自身が現地法人を立ち上げたり、管理事業所を設立するのでなければ、返品先の確保や海外に所在する代行業者に依頼しなければなりません。

その点、Amazonグローバルセリングを利用すれば、商品を出品する際の仕組みや商品を販売する工程もAmazon.co.jpのマーケットプレイスとほぼ同様で、同じようにサービスを受けることができます。

 

現在のところAmazonグローバルセリングは日本からアメリカへの輸出が最も多い状況ですが、すでに世界の11ヶ国に展開されているため、サポートがさらに拡充されれば、今後中国やヨーロッパ、オーストラリアなどへも越境ECが活発化していくことが予想されます。

 

 

Amazonの物流代行サービスを利用する方法も

Amazonでは、マーケットプレイスへ出店だけでなく、物流代行サービスも提供されています。それが、FBA(Fulfillment by Amazon)で、これはいったん越境ECで販売する商品をAmazonの倉庫に送ることで、Amazonが発送業務を代行するものです。

これにより、越境ECの負担を大幅に軽減することができ、利用者は販売事業に集中することができます。

 

具体的にはFBAにより、注文受注、商品ピックアップあるいは発注、商品梱包、配送ラベル添付、集荷手配、発送連絡、顧客データ管理、返品や輸送トラブルなどクレーム対応などを一括してAmazonに委託することができます。

これまでFBAの利用は日本国内だけに限られていましたが、利用者が海外配送の設定を有効にすることで、輸出規制品等の対象外商品を除いた商品が自動的に海外配送の対象となりました。

具体的には、海外の購入者が商品を注文すると、Amazonが受注・梱包の上、通関手続きを経て購入者の元に発送される仕組みです。

 

また、配送に関する問い合わせのほか、返品処理などのカスタマーサービスは、英語と中国語、そして日本語にも対応しています。

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Amazonにおける越境ECのメリット・デメリット

このように、Amazonで越境ECを行う際にはいくつかの方法が考えられますが、最後にそのメリットとデメリットを整理しておきましょう。

 

Amazonにおける越境ECのメリット①圧倒的な集客力がある

Amazonにおける越境ECの最大のメリットは、やはり何といっても圧倒的な集客力です。

アメリカではEC利用者の約4割がAmazonから商品を購入しているというデータもあり、越境ECにおいてもAmazonを利用すればこの集客力を存分に活用できます。

 

Amazonにおける越境ECのメリット②容易に越境ECをはじめられる

Amazonで越境ECをはじめるには、まず出品者登録を行う必要がありますが、アカウント取得は比較的容易で、法人情報や支払い方法を入力することで、2、3日後にはアカウントの開設が可能です。

一方で、Amazonグローバルセリングを利用した場合には日本の銀行口座では登録できないことがありますが、この場合も、「Payoneer」などの外貨受け取りサービスを利用し、海外の銀行口座を取得できれば海外に向けて商品を販売することができます。

 

Amazonにおける越境ECのメリット③安定した売り上げが見込める

Amazonでは、アカウントを登録し、商品を出品した上で商品情報を充実させたり、顧客からの商品に対する質問に答えたりすることで売り上げの増加に結び付くことがあります。

またAmazon内に広告を出稿し集客に努めれば、こちらでも売り上げの増加が見込まれ、Amazonからの評価も高くなり、さらには売上も安定するといった好循環が生まれるでしょう。

これを実現するためには、商品価格だけでなく、丁寧な接客や梱包、発送を心がけるほか、ユーザーの口コミや星の数、トラブルの有無が評価の対象として重要になってきます。

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Amazonにおける越境ECのデメリット①手数料が比較的高い

Amazonでは、出品した商品が売れた際、「販売手数料」が発生します。これはAmazonに限ったことではありませんが、他のECサイトと比較するとやや高い傾向があります。

販売手数料は商品の種類によって異なるものの、おおよそ商品代金の8%~15%が目安です。このため、販売手数料が高い商品の場合には、手数料を差し引いても赤字にならない価格設定が必要です。

 

Amazonにおける越境ECのデメリット②価格競争に陥る可能性がある

参入のハードルが低いAmazonですが、これはすなわち販売する商品が売れ筋商品であればあるほど、ライバルが多いということになります。

このため、常に価格競争に陥る危険を常に孕んでおり、いったん値下げが始まると、これが連鎖して価格破壊が起こる可能性も考慮しておかなくてはなりません。

 

Amazonにおける越境ECのデメリット③越境ECのノウハウが蓄積できない

Amazonを利用すると、越境ECを効率的に行えるため、運営に関する業務はほとんど不要です。しかしながら本来越境ECでは商品の販売、販促活動、注文処理、受注作業、商品の発送、顧客対応といった業務が発生します。

このため、将来独自に越境ECを行う検討をしているのであれば、こうしたノウハウを蓄積することはできません。

 

 

Amazonにおける越境ECで重要なこと

越境ECというとハードルが高いと捉えがちですが、デメリットを考慮したうえでAmazonを活用すれば、比較的容易に越境ECへ参入することができます。

ただし、一昔前の人気アニメのフィギアが売れていたような時代であれば、それほどシビアではありませんでしたが、現在では日本文化が感じられ、かつ高機能でコンパクトといったような、競合に勝てる、あるいは競合が少ない商品を選定することが重要になっています。

 

このため、Amazonにおいて越境ECを成功させるカギは、海外では入手困難なであり、かつ商品自体の魅力を訴求できるものを見つけ出すことにあるといえるでしょう。

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