中国における越境ECとその環境

2018.12.13

中国における越境EC

現在の中国において、市場規模が急速に拡大しているEC(電子商取引)ですが、その中でも大きな割合を占めているのが、インターネット経由で国外の商品を直接購入すること、いわゆる「越境EC」です。

越境ECの規模は中国が世界最大となっており、伸び率が鈍化することはあっても今後も拡大は続いていくとみられています。

米国eMarketer社の各国別EC市場調査によれば、2016年の中国国内におけるEC売上高は日本円に換算すると総額およそ104兆5700億円で、世界一であるばかりでなく、他国と比較しても突出した規模となっています。

 

また、7億2,000万人ものインターネット人口を擁する中国は、EC市場の伸び率においても対前年比39.9%増と、中国を含むアメリカ、イギリス、日本、ドイツの市場規模上位5か国の中で最も大きくなっています。

このように、現状のEC市場も規模の大きな中国ですが、全人口に占めるインターネット人口は現状約5割程度とどまるため、今後も引き続き成長が期待できる市場といっていいでしょう。

 

さらに中国では国内におけるEC市場のみならず、越境ECも積極的に利用されている実態があります。

経済産業省の「平成28年度 電子商取引に関する市場調査」では、中国における越境ECの利用経験者はEC全体の利用者のうちの26%にのぼっており、EC利用者の4人に1人は越境ECの利用経験があることになります。これは越境EC経験者がわずか5%にとどまる日本と比較すると、中国において、いかに越境ECが抵抗なく受け入れられているのかがわかります。

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中国における越境ECの市場規模

同じく「平成28年度 電子商取引に関する市場調査」で、中国における越境ECの市場規模をみてみると、2016年に越境ECにより中国国内の消費者が日本から購入した商品の総額は、およそ1兆円に達しており、伸び率としては前年比の約30%に達しています。

同様にアメリカからの越境ECの購入総額をみてみると、こちらは前年比34.7%増の1兆1,371億円となっていてさらに日本をやや上回る規模となっています。

 

一方で、越境ECによってアメリカが中国から購入した商品総額は4,259億円で、日本にいたっては226億円とアメリカを大きく下回っており、中国の越境ECによる購入額がいかに大きいかがわかります。

中国における越境ECについては、今後も高い購買力が維持されると予測され、国内のEC市場同様、高水準で成長することが見込まれています。

その背景には中国のインターネット人口の増加が続くと予測されることや、名目所得額の伸びが見込まれること、物流網、国際的な資金決済方法、安心・安全といった越境ECインフラの整備が進むことなどが要因として挙げられます。

 

このため、2020年時点の中国における越境ECの市場規模は、2016年の1.84倍に達すると予測されています。

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中国における越境ECサイトのランキング

中国iiMediaResearch(艾媒咨詢)の「2018年上半期中国越境EC業界観察報告」によれば、2018年上半期における直販型越境ECサイトは26.2%のシェアを誇る「网易考拉(ネットイースコアラ)」が1位となっていて、ついでアリババ傘下の「天猫国際(Tmall国際)」が2位、「京東(JD)」付属の「京東全球購(JDWW、JD Worldwide)」が3位と続いています。

中国においては、国内EC市場はすでにTmallとJDに二分されており、他社が参入できない状態に定着してはいますが、越境EC市場では上位3社のほか、「唯品国際(VIPSHOP国際)」、「小紅書(Red)」などもシェア争いを繰り広げています。

 

そこで、越境ECで利用される上位3社のECモールの概要をみてみると、以下のような特徴があります。

 

1位:网易考拉(ネットイースコアラ)

网易考拉は中国三大ポータルサイトのひとつである、網易(ネットイース)が運営しています。メイン事業はポータルサイトの運営ですが、現在ではオンラインゲームやメールサービスなども提供しています。

ECサイトとしては越境直販型を主体のサービスを提供しており、現地メーカーから直接買付を行い、自社で販売するというビジネスモデルでユーザーの支持を獲得しています。

 

2位:天猫国際(Tmall国際)

中国IT企業のアリババグループが運営で、中国最大のインターネット・ショッピングモールが天猫国際です。かつては個人対個人の取引(CtoC)で利用される淘宝網(タオバオ)の一部でしたが、天猫として独立しました。

中国ではこれまで偽物や並行輸入品、粗悪品が問題となっており、消費者に安心と信頼感を与えるECモールが必要とされていました。これを受け天猫国際では出店基準を厳しく設定していて、営業許可証や取扱商品の商標登録証等の提出や審査が必要となっています。

 

3位:京東全球購(JDWW、JD Worldwide)

京東商城は自社で商品を仕入れて販売する直販型の事業形態を採用しており、米国「Amazon」に近いビジネスモデルといえます。中国の直販型ECモールの分野ではシェア50%以上を占める最大手となっており、デジタル家電に特化したECモールとして広く知られています。

また、Amazon同様、大規模な物流部門を保有していて、中国国内に約6,900ヶ所の配達センターのほか、約84,000人の配達員が配置されています。

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中国における越境ECを取り巻く環境①|税

中国では今後も越境EC市場がより活性化していくことが予測されていますが、特に中国の消費者の間では日本製品の信頼度は高く、人気を誇っています。このため、今後日本から中国市場向けの越境ECを行うことはビジネスの拡大に貢献する可能性少なくありませんが、一方で市場の動向や環境を知っておくことが必須となります。

それにはまず中国における越境ECではどのような税が関わってくのか知っておかなくてはなりません。

 

中国の越境ECにおける税の種類

中国の越境ECに関わる税には、関税、増値税、消費税、行郵税といったものがあります。それぞれの概要は以下の通りです。

・関税

中国に輸入される商品に対して課される税金で、いわゆる一般的な関税と同様です。

・増値税

日本の消費税に相当する流通税のひとつで、販売と仕入れを繰り返すごとに付加価値が上乗せされていくものです。

・消費税

日本における消費税とは異なり、工場出荷する際や、あるいは輸入するときに課される税です。輸入贅沢品・非生活必需品などに課税され、たとえば化粧品なら30%、貴金属や宝石は5%といった税率となります。

・行郵税

個人が海外で購入した品や海外から輸入した郵便物に対して課せられるものです。

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中国の越境ECにおける税の適用

日本から中国向けの越境ECを行うには、日本のEC運営サイトを利用し中国の顧客に直接販売するものと、中国のECサイトに出店し、販売するという方法があります。

このうち、日本のEC運営サイトを利用する場合には、中国内の顧客から商品注文が入るたびに発送しなければならず、また日本からDHLやEMSといった国際宅配便を利用して商品を消費者に直接配送するため、個人輸入扱いとなり、行郵税を納付することになります。これを、「直送モデル」といいます。

 

一方、中国で運営されているECサイトを利用し、中国で貨物として商品を輸入する場合ですと、関税・増値税・消費税を納付する必要が出てきます。

この場合、日本メーカーや問屋などでは中国のネットショップの管理業者からの商品の発注を受けて管理業者へ商品を輸送しますが、管理業者は中国に独自の倉庫を備えていて、そこから直接中国人消費者へ商品を配送します。これを、「保税区モデル」といいます。

 

 

中国における越境ECを取り巻く環境②|電子商取引法

次に、越境ECに関わる法律についてもみておきましょう。中国では、2019年1月1日に越境ECに関わる法律として、「中華人民共和国電子商務法(電子商取引法)」が施行されます。

 

電子商取引法の概要

電子商取引法は、法人や非法人に関わらず、電子商取引業者の登記を義務付けていて、現在中国で頻繁に行われている「代購」と呼ばれる海外で商品を購入し、自国消費者向けに販売するといった商法が大きな打撃を受けるとみられています。

また、電子商取引法では納税の義務も正式に定められる一方で、消費者や知的財産権保有者の権利保護も強調されているのが特徴です。

越境ECに及ぼす影響としては、CFDA登録やCCC認証を取得していない製品が、税関を通過できなくなる可能性があります。

 

CFDAとCCC認証とは

電子商取引法における、CFDAとは中国の「國家食品藥品監督管理總局」(China Food and Drug Administration)のことで、CFDA登録が必要な商品は、化粧品や医薬品、医療機器、保健食品などとなっています。

また、CCC認証は「中国製品安全強制認証制度(China Compulsory Certificate system)」のことであり、電気製品や電子製品はこのCCC認証がない場合、中国における輸入や販売が許可されません。

 

このCFDA登録やCCC認証は、保税区の保税倉庫を活用した物流も対象になるため、中国における越境ECにおいては、CFDA申請やCCC認定の手続きを一刻も早くはじめる必要があります。

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中国における越境ECの今後の見通し

中国では消費者の所得が増加し、中国国内におけるEC市場は年々拡大を続けています。

同じく中国においては越境ECについても市場が拡大していくことが予想されており、特に日本製品に関しては品質面での評価が高く、需要も高まっているという事実があるため、相応のビジネスチャンスがあると考えられます。

 

しかしながら、中国への越境ECをはじめるためには、中国の法律、規制、税制などをきちんと理解しておかなくてはなりません。

また、海外販売機能や代行業者などを選択したり、どのような事業展開をするかについても複数の選択肢があるため、状況に合わせた適切な方法を選ぶことが重要です。

 

このほかにも、越境ECに関しては、商品発送の際にトラブルが起きやすいということや、消費者などへの対応に中国語が必要になることもあるため、これらのことも念頭に置いておかなくてはなりません。