マニュアル動画とは|種類や活用・制作方法

2020.03.27

紙媒体に代わるマニュアル動画

かつてはビジネスシーンにおいて分厚い冊子のような形式が当たり前だったマニュアルは、パソコンの普及によって印刷コストのかからないPDFファイルなどに置き換えられるようになりました。

さらに現在ではインターネット環境の整備やスマートフォンなどのモバイル端末やタブレット端末の普及に伴って動画視聴は一般に定着しています。

こうした背景とともにマニュアルも動画で作成されることが珍しくなくなってきました。

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マニュアル動画とは

マニュアル動画は作業内容や手順などを動画で確認できるマニュアル全般のことをいいます。テキストや画像だけのマニュアルと比較すると動画による説明はわかりやすく情報量が多いことから、何ページにもわたるテキストを読んだりする必要がありません。このため、ポイントを視覚や聴覚によって容易に理解することができるでしょう。

また、わからない部分は理解できるまで繰り返し再生することができるほか、デジタル媒体なので印刷や材料コストがかからないのも特徴です。

 

マニュアル動画の種類

従来の紙媒体のマニュアルはその多くを動画へ置き換えることが可能です。このため、すでの多くの企業で次のような種類のマニュアル動画が制作されています。

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製品マニュアル

製品マニュアルはチュートリアルや取扱説明書などとも呼ばれるものです。

従来は紙媒体が主流でしたが、動画に置き換えることによってよりわかりやすく製品やサービスの基本的な使い方や組み立て方、操作方法などを解説することができます。

主にハードウェアのマニュアルとソフトウェアマニュアルがありますが、特にパソコンのソフトウェアなどについては動画によるチュートリアルが配信されていることも少なくありません。

 

研修マニュアル

新人研修など、主に企業の研修に用いるためのマニュアルです。動画で作成することによって理解できるまで繰り返し視聴することができます。

研修マニュアルには接客方法や電話対応、名刺交換のマナー、社内ルールの解説といった主に新人を対象としたものから、ベテラン社員向けに新人の指導方法を解説する指導マニュアル、フランチャイズ店舗を運営する店長向けの店舗運営マニュアルなども含まれます。

 

業務マニュアル

研修マニュアルと同様、業務の全体像や作業手順、考え方を理解するためのマニュアルです。動画で用意することによって、指導役となる社員の負担が軽減され、本来の業務に専念できるため効率化にもつながります。

また業務手順だけではなく、トラブル発生時の対応方法などテーマ別に動画を準備しておくとより効果的に活用できます。

 

営業マニュアル

セールスマニュアルとも呼ばれるもので主に企業の営業部員を対象としたマニュアルです。セールスプロセスを具体的に視覚化・言語化することで実践的なノウハウを身に着けることができます。また新人のOJT(On-The-Job Training)にも活用されることがあります。

 

ビジネスシーンにおけるマニュアル動画の活用方法

マニュアル動画はビジネスのさまざまなシーンで活用されています。

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新人教育・社員教育

視覚から直感的に理解できるマニュアル動画は新人教育や社員教育に最適です。文字や画像だけでは伝わりにくい知識や技術も繰り返し視聴することで身に着けることができ、社員のスキルアップに結びつきます。

 

オペレーション指導

工場などの機械の操作方法や飲食店の調理指導などには視覚情報が中心のマニュアル動画は効果的です。文字による情報のようにいったんイメージし、動作に置き換えるといった負担が軽減されます。

 

採用活動

人手不足が社会問題化する現在、企業は人材確保にさまざまな努力が必要です。そこで、採用活動ではマニュアル動画を活用することで、企業の魅力や職場の雰囲気などを伝えることができます。

 

営業活動

製品やサービスに関するマニュアル動画が準備できていれば、商談における効果的なツールとなります。開発担当者が同席して説明を行わなくても営業担当者によるアピールが可能です。

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販売促進

街頭や商業施設では静止したポスターや横断幕などの広告よりも、むしろ製品やサービスなどのマニュアル動画のほうが人目を惹き、宣伝効果を高めることがあります。また展示会などの際には空間演出の手法としてマニュアル動画が活用されることもあります。

 

顧客サポート

近年は自社サイトに製品やサービスに関する「よくある質問」や「Q&A」を掲載している企業も珍しくなくなりました。これは利用者の理解を深めるためのものですが、同時にマニュアル動画も掲載されているとより説明効果が高まります。

 

マニュアル動画のメリット

マニュアル動画はビジネスシーンでは広く活用することができ、動画ならではのさまざまなメリットをもたらします。

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直感的に理解できる

活用方法にもあるように、マニュアル動画がテキスト中心のマニュアルと異なるのは直感的に内容を理解しやすいという点です。

作業手順を説明する場合、テキストだけのマニュアルでは作業動作やスピードなどは正確に伝えるのが難しくなりますが、動画であれば実際の作業を目でみて確認できます。

業務内容が複雑かつ多岐にわたる場合には視覚的な情報で細かなニュアンスを伝えながら、音声や字幕なども加えてよりわかりやすく説明することも可能です。

 

内容を理解するまでの負担が軽減される

テキスト中心となるマニュアルでは必要な情報量が多い場合ページ数も膨大となり、読み手にとっては負担が大きく、途中で理解を断念してしまうケースもみられます。

その点動画であれば編集の仕方次第で、内容をコンパクトにまとめることも難しくありません。また、比較的長時間のマニュアル動画であっても、チャプターを切りわけることによって必要なパートを必要な時に集中的に視聴し理解を深めることができます。

 

視聴する場所や時間を問わない

マニュアル動画の多くは記録媒体ではなくサーバーやクラウド上にアップされています。このためアクセス権を持つパソコンやタブレットなどのデバイスであれば必要な時にいつでも閲覧可能です。

さらにアクセス権次第では社外からもスマートフォンなどで視聴でき、こうしたデバイスが広く普及している現在では自己学習にマニュアル動画は最適といえます。

また顧客向けの製品やサービスのチュートリアルであればYouTubeなどの動画投稿サイトで一般公開している企業も少なくありません。

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スキルの均一化が期待できる

繰り返し再生して理解を深めることができるマニュアル動画は研修などでは対象者各々がわからない部分を集中的に視聴することによりスキルの均一化が図りやすくなります。

また対象者全員が同じ内容を視聴するため、指導者のレベルに左右されたり、イメージの差異や勘違いによる誤認が生じにくいといえます。

 

コストが削減できる

マニュアル動画は動画制作の初期費用は必要なものの、一定期間使用可能なことから、ランニングコストを削減できます。研修の場合などであれば指導者の人件費も抑制できます。

さらに動画ファイルはデータのため、物理的な保管場所を必要とせず、共有も容易なことから輸送費などもかかりません。このため紙媒体のような保管や管理、そして印刷にかかる経費も削減できます。

 

マニュアル動画のデメリット

従来の紙媒体のマニュアルと比較して、メリットの多いマニュアル動画ですが、利用の仕方によってデメリットとなる点も把握しておかなければなりません。

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視聴環境が整っていなければならない

インターネット環境が整備され、デバイスの普及が進んでいるとはいえ、マニュアル動画を活用するうえで視聴環境の整備は必須です。

このため、マニュアル動画を導入する際には企業側でどこまで環境を構築するのか、利用できる端末の範囲などの検討が必要となります。

 

必要な箇所を確認しにくい

紙媒体のマニュアルであれば、たいていの場合目次があり、必要な箇所へ容易にたどり着くことができます。

しかし動画の場合、どこにどのような情報が収録されているのかわかりにくいことがあります。これは動画が長いほど顕著です。チャプターを設定することはできますが、情報の一部をピンポイントで引き出すのにはやや難しい部分があります。

 

複数の情報を取り入れにくい

動画は大まかな概要をわかりやすく伝えるのに適しています。一方で概要とそれ以外の詳細情報を同時に収録するのには不向きです。

このため、詳細情報は分けて収録したり、紙媒体で補完するといった工夫をしなければなりません。

 

制作にはスキルが求められる

制作する側にとってもマニュアル動画にはデメリットがあります。

誰にでも理解しやすいマニュアル動画を制作するためには字幕の挿入や編集など、動画制作にかかわるさまざまなスキルが必要です。制作に必要なツールは数多くリリースされていますが、必ずしも自社内に使いこなせる人材が揃っているとは限りません。また、通常業務と並行して動画制作を進める場合、負担も大きくなります。

 

データ容量に注意が必要

物理的な保管場所が必要ないとはいえ、動画はデータ容量が大きくなりがちです。データは大きいほどサーバーなどに空き容量の確保が必要になるだけでなく、環境によっては動画が正常に再生できなくなることもあります。

内容には問題がなくても正しく再生されない動画は活用されなくなってしまうため、動画制作時にはデータ容量も意識することが重要です。

 

マニュアル動画の制作方法

マニュアル動画は実際に制作する場合、自社内で制作する方法と専門の制作会社に外部委託する方法があります。

自社内に制作チームなどを抱えている場合には自社内で一貫して制作することも可能ですが、外部委託するという選択肢もあります。

そこでそれぞれの手順や注意点などについてもみておきましょう。

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自社内でマニュアル動画を制作する場合

自社内でマニュアル動画を制作する場合、実際には次のような手順で進めていくことになります。

 

構成を検討する

自社内でマニュアル動画を制作する場合まずは動画の構成を検討しなければなりません。マニュアル動画によって達成したい目標を設定し、目標を達成するための動画のおおまかな流れを決定します。

特に自社内で社員向けに利用するのではなく、社外の顧客に向けて公開される動画であれば、単に説明が伝わればいいというわけではなく、一定の品質を意識した構成が求められます。

 

情報収集

構成案を組み立てたら、これをもとにマニュアル動画制作に必要となる、情報や資料を収集して整理します。情報や資料の収集では、完成する動画をできるだけ明確にイメージしておくことが大切です。イメージが漠然としていると、どうしても必要のない情報や資料まで集まってしまい、これを取捨選択するための作業リソースが必要になってしまいます。

 

台本作成

おおまかな構成が決定し、資料が集まったら実際にどのような動画を作成するのか、台本に落とし込んでいきます。台本はテキスト中心のものや絵コンテを活用したものなどさまざまですが、より撮影する動画をイメージしやすいものがベターです。また、台本にはセリフやナレーションのタイミング、挿入するテロップや図表なども細かく決めておきます。

 

撮影準備

台本の作成後、撮影の準備に取りかかります。撮影場所などを撮影当日使えるよう手配し、撮影時間も設定します。また、撮影に関わるスタッフに台本を配布し、撮影当日までに読み込んでおくよう指示・連絡をします。さらに出演者同士がセリフを掛け合うようなシーンがある場合には、事前に台本の読み合わせも必要です。

 

撮影

準備が整ったら予定していた場所と日時に動画を撮影します。撮影は同じシーンであっても複数のアングルから行っておくとよいでしょう。撮影後に最適なアングルを選択することができ、編集作業の際に役立ちます。

だだし、マニュアル動画をCGなどで制作する場合など、作業がPC上で完結する場合には撮影は行いません。

 

ナレーションの収録

動画は視覚から直感的に理解できることがメリットのひとつですが、ナレーションを挿入し聴覚にも訴えることでより理解が深まります。このため台本作成時にナレーションも用意しておき、撮影後に挿入作業を行います。

 

編集

マニュアル動画制作の最終の作業工程が編集です。構成や台本はもとより、編集作業もマニュアル動画の質を大きく左右します。そこでクオリティを意識しながら、複数のアングルから撮影した動画の中から最適なものをピックアップし、ナレーションに合わせて適宜テロップを入れるほか、音楽や効果音などを挿入するなどしながら動画を仕上げていきます。

 

レビュー

編集まですべての作業が完了したら動画内容に問題がないかなどの確認を行います。このとき、制作に関わっていない社員などからも第三者の視点でレビューを求めることで完成した動画を客観的に評価できます。

そのうえで問題点があれば修正し、問題がなければマニュアル動画は完成です。

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自社内でマニュアル動画を制作する場合の注意点

マニュアル動画を制作するうえで重要なのは一定の品質を確保することはもちろん、マニュアル動画のターゲットを明確にしておくことです。そこで、構成段階から年齢や性別などの基本情報をはじめ、ターゲットの特徴を具体的にイメージしておかなければなりません。

また、自社内で作成されるマニュアル動画は細かな撮影環境に気を配ったかどうかでクオリティに大きな差が出ます。撮影の際はカメラは画面のブレを抑えるために三脚を使ったり、レフ板を用いるなどして照明にも配慮しましょう。

さらに、ナレーションやテロップは、誰がみても理解できるシンプルで簡潔な表現を心がけることが大切です。

このほかレビューに関してもできるだけ多くの意見を集めることで動画に対する評価の客観性がより高まります。

 

マニュアル動画の制作を外注する場合

マニュアル動画の制作を動画制作会社に外注する場合、主に求められるのが確認作業です。これによって、社内での作業にかかるリソースを節約することができます。

 

事前打ち合わせ

マニュアル動画の制作を依頼する際にはまず制作会社と事前打ち合わせを行い動画尺や撮影概要、収録日などを決定します。すでに紙媒体のマニュアルがあり、これを動画に置き換える場合などはこれも事前に提示しておきましょう。またおおまかな動画の内容が想定できている場合も同様に制作会社に伝えておきます。

 

撮影

 撮影は事前に決定した撮影場所で、機材セッティングから撤収まですべて制作会社のスタッフの手によって行われます。ただし製品の操作方法などに関して実演が必要な場合、依頼者自身が行うこともあります。また、演出小道具なども依頼者側で準備するケースもあるため事前に確認が必要です。

 

編集

撮影終了後、動画は制作会社によって編集されテロップなどが挿入されます。依頼者は編集が完了後確認を行い、必要に応じて修正を依頼します。

 

納品

修正が完了した動画は、記録媒体あるいはオンライン経由などで納品されます。

 

マニュアル動画の制作を外注する場合の注意点

マニュアル動画を外注する場合、自社内のリソースを割く必要はなくなり、一定のクオリティも担保される一方で、動画制作に関わる費用が発生します。費用は主に「人件費」と「機材費」が中心となりますが、依頼する作業の量に伴い人員はより多くなり、動画のクオリティが高いほど最新の機材が必要となり機材費もかさみます。このため、動画制作を外注する際には、あらかじめ費用がどれくらいかかるのか確認し、おおまかな予算感を持っておくことが大切です。

また、動画制作会社は数多く存在し、費用は会社によっても異なるため、事前に複数社に同条件で見積もりを依頼するなど、適正な費用を把握しておく必要もあります。

さらに、編集後の修正も、何回まで可能なのか・当初の費用に含まれるのか・別料金になるのか等も確認しておいた方がいいでしょう。

 

適切に導入することで活用の幅が広がるマニュアル動画

ここまでのようにマニュアル動画は社外に対して活用すれば商品やサービスを理解するツールとしてはもちろん、マーケティングツールとしても有効な手段となりえます。このためマニュアル動画の果たす役割は今後さらに広がっていく可能性があるといっていいでしょう。

ただし、自社内でマニュアル動画を制作する場合には相応のノウハウが求められ、動画制作会社に依頼した場合には外注費用を検討しなければなりません。

そこで、実際にマニュアル動画を検討する際には、業務委託をしつつ自社内で可能な範囲で制作を行うなど、専門業者のノウハウを取り入れながら導入を進めるのもひとつの方法です。

 

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