日本企業が出店するECモールや越境ECの進出先や商品について

2019.08.26

市場の拡大が予想される越境EC

インターネットの急速な普及により、「インターネット通販」や「ネットショッピング」といった手段で商品を購入することは今やごく一般的なものとなりました。こうしたインターネットを介した売買方法は総称してEC(electronic commerce)と呼ばれますが、近年ではさらに国境を越えて商品を売買する越境ECも市場が急拡大しています。また、新興国においてもインターネットは急速に普及が進んでいることから、越境ECは今後も拡大傾向は続くと考えてよいでしょう。

このため、日本企業としては少子高齢化による人口減少などを背景に縮小傾向が予測される国内市場に留まるだけではなく、市場の成長が見込まれ、かつ規模の大きな海外市場を狙って、越境ECへの参入を考えたいところです。

そこで、ここでは実際に日本企業が出店しているECモールの特徴などとともに、越境ECにおける日本企業の進出先や強み、人気の日本製品などについてもみていきましょう。

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日本企業が出店しているECモール

越境ECへの参入方法はさまざまですが、ECモールへ出店する方法は比較的参入のハードルが低いとされています。また、世界には数多くのECモールが存在していて、その中には日本企業が実際に出店しているモールも少なくありません。

そこで、日本企業が出店しているいくつかのECモールの特徴とあわせ、出店条件のほか、対応している決済方法などについてみていきましょう。

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日本企業が出店しているECモール①Tmall(天猫)

EC市場において世界一の規模を誇る中国にあって、中国最大のECモールがアリババグループのTmall(天猫・ティーモール)です。日本企業も数多く出店し、中国ユーザーに向けに越境ECを行っています。

このTmallは、高い出店基準を設けており、偽物や非正規品を排除していることから、海外の有名ブランドも積極的に出店しているのが特徴です。近年中国でも、顧客は高い品質や安心を求める傾向があり、Tmallではこうした需要の変化に対応したことで大きく成長を遂げてきました。

一方で、中国国内における営業許可証をはじめとした法人アカウントの取得や保証金、年会費、販売金額に応じた手数料など、出店のハードルはやや高くなっていますが、品質の高い商品を取り扱う日本企業であれば、中国富裕層に訴求できる可能性は高いといえます。

 

Tmallの出店条件

Tmallヘの出店条件としては、まず運営主体が中国大陸で登記された法人であることが必要です。これが難しい場合、現地の販売代理店や運営代行会社と提携してパートナー名義で出店するといった方法が考えられます。また、販売商品に関する許可証を持っていることも必要で、受理までには通常 3 カ月ほどかかるとされます。

 

Tmallの決済方法

Tmallでは、「アリペイ(ALIPAY)」と呼ばれる決済システムが利用されるのが一般的です。アリペイはスマートフォン決済のひとつで、中国で普及しています。

 

日本企業が出店しているECモール②JD.com(京東商城)

JD.com(京東商城・ジンドンショウジョウ)も中国のECモールで、Tmallに次ぐ規模を誇ります。特徴的なのは、日本製品専門サイト「日本館」をオープンし、日本企業の誘致に注力している点です。さらにヤマトホールディングス傘下で国際物流を手掛けているヤマトグローバルロジスティクスジャパンもJD.comと提携しているので、日本企業にとっては出店がしやすいといえます。

また、JD.comは中国最大のSNS「Wechat(微信)」を運営するテンセントと業務提携をしているので、問い合わせなどもチャットで行う傾向がある中国では、顧客の利便性が高いといえるでしょう。ただし事業者側では、出店にあたりチャット対応の人員などを準備する必要があります。

 

JD.comの出店条件

越境ECでJD.comに出店するには、優先条件として中国国内にない有名ブランドの所有している企業であることや、中国国外に有名な実体販売店舗などを持っていることが必要です。

また、中国語のページとカスタマーサービス対応していることや、中国国内に返品先があることなども条件となります。

 

JD.comの決済方法

JD.comではスマートフォン決済のWechat(微信・ウィチャット)のほか、クレジットカードやデビットカード、着払い、振り込みなどの決済方法に対応しています。

 

日本企業が出店しているECモール③Amazon

Amazonは日本国内でも非常に知名度の高いECモールですが、世界各国に進出していて、越境ECに取り組む場合も、Amazon.co.jpの出品者に対し、アメリカのAmazon.comでの海外販売をサポートしていくプログラムである「グローバルセリング」を利用したり、Amazon.comのマーケットプレイスに直接出店するなど、越境ECに取り組む方法はいくつかあります。

このAmazonにおける越境ECでは、売上げが増加し、よいフィードバックが集まるとアカウントが評価され安定した収益が見込める一方で、サイト内のコンテンツ構成が決まっているため、商品の情報や見せ方などが自由に変更できないという難点もあります。

 

Amazonの出店条件

Amazonの出店条件はそれほど高くないため、越境ECに参入したいと考える日本企業は比較的簡単に出店が可能です。

 

Amazonの決済方法

Amazonの決済方法は、アメリカで主流となっているクレジットカードやデビットカードのほか、オンライン決済サービスの「PayPal(ペイパル)」 などが利用できます。

 

日本企業が出店しているECモール④楽天

日本国内ではEC市場のシェアトップで知名度も高い楽天ですが、海外向けモールである「Rakuten Global Market」へ出店し、越境ECへの参入も可能です。また、商品掲載ページは英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語の4カ国語に対応しているので、日本企業にとってはさまざまなECモールの中でもより出店のハードルも低いといっていいでしょう。

また、海外における国および地域別の流通額は中国が圧倒的に高いため、中国進出に適したECモールではあるものの、中国にはTmall、JD.comが上位を占めていることから、どの程度の売上げが確保できるのかは事前調査が必要です。

 

楽天の出店条件

Rakuten Global Marketへはすでに国内に楽天市場に出店している企業であれば初期費用・固定費用が無料で出店可能です。

 

楽天の決済方法

Rakuten Global Marketでは、クレジットカードをはじめとして中国向けにアリペイ、銀聯のほか、欧米向けにペイパルなどに対応しています。

 

越境ECにおける日本企業の進出先

ここまで日本企業が出店しているECモールをみてきましたが、日本企業が進出しているのはどのような国や地域が多いのでしょうか。

そこで、実際に日本企業の進出先をみてみると、北東アジアとアメリカが主要な国や地域で、中でも世界最大のEC市場である中国は日本企業の進出が最も多くなっています。一方で中国は、インターネットの利用人口はいまだ総人口の6割弱にとどまっていることから、今後も利用者増とともにEC市場の拡大が予想され、日本企業の進出も続くものと考えてよいでしょう。

また、このほか今後日本企業の進出が見込まれる地域として、比較的規模の大きな企業ではインド、規模の小さな企業ではシンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンといったASEAN諸国に関心が集まっています。

しかしながらこうした国々では市場の拡大が期待される反面、越境ECに関する制度が整っていない国々も少なくないことから、進出を目指す日本企業はさまざまな動向を注視しておかなければなりません。

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越境ECにおける日本企業の強み

日本製品が世界で受け入れられるのには、製品だけでなく日本企業そのものにも強みがあるからです。そこで次のような強みを越境ECで十分に発揮することができれば、事業をより大きく発展させる可能性が高まるでしょう。

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日本企業の強み①ブランド力

越境ECの進出先の国や地域では、日本企業であること自体が大きな強みとなります。これは、海賊品や偽物が横行する海外にとっては、日本製品を日本企業自身が販売しているということが信頼感に結び付くからです。

 

日本企業の強み②丁寧な対応

「おもてなし」に代表される日本のきめ細やかでかつ丁寧なカスタマーサービスは、越境ECにおいても大きな強みです。ただしこれを最大限生かすにはネイティブスピーカーによるカスタマー対応の体制づくりなどが必要になります。

 

日本企業の強み③日本市場で培ったスキル

すでに日本国内で事業を展開している日本企業であれば、「どこで」「誰に」「何を」売るのか明確にターゲティングを行っていたはずです。こうした、日本企業が日本市場で培った知識、経験、スキルは越境ECでも応用できます。

 

越境ECにおける売れ筋の日本製品

多くの日本企業が越境ECに参入しているのには、海外で日本製品が高い評価を得ているという背景がありますが、売れ筋の商品には「日本でしか買えないもの」、「信頼できる日本の正規品「自国製よりも日本製のほうが高品質製品」という共通点があります。また、ジャンル別では特に次のような商品が売れ筋となっています。

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越境ECで売れ筋の日本製品①アパレル・衣料品

アジア圏を中心に日本のファッションは非常に高い人気を誇っています。その中でも好まれるのは若年層がターゲットのレディースファッションで、ナチュラル系、カジュアルなど、ジャンルは偏ることなく、商品カテゴリは洋服をはじめバッグ、帽子、シューズなどさまざまです。

 

越境ECで売れ筋の日本製品②家電

日本製の家電は機能や耐久性に優れるハイエンドの商品が好まれます。例えば美容家電や美顔器のほか、米食文化のある地域では炊飯器なども人気商品です。

 

越境ECで売れ筋の日本製品③雑貨・漫画等

「クールジャパン」に代表される日本のソフトパワーは越境ECでも強みを発揮します。若年層ではぬいぐるみやキャラクターグッズなど、やや高い年齢層では漫画や同人誌などが人気です。

 

越境ECで売れ筋の日本製品④食品・日用品

主に中国市場を中心にみられる傾向ですが、食品の偽装問題や自国商品への疑心暗鬼から、品質の高さを背景に日本製品は売れ行きが好調です。中でも売れ筋としては化粧品、健康食品、ベビー用品などが挙げられます。

 

進出先や商品を吟味しECモールに出店する

日本よりも大きな市場で事業が展開できる越境ECは、成功すれば大きく売り上げを伸ばすことができます。そこで進出を検討する際には最適な進出先や、販売する商品を吟味する必要があります。

また、越境ECへ参入するには、まずは比較的ハードルが低いとされる、ここで紹介したようなECモールへの出店を検討してみるとよいでしょう。